天野 敦雄教授

2012.3.23|2012年開催分 講師紹介

天野先生

平成24年 第16期 3月講演会 病因論で語るClinical Periodontology 大阪大学大学院歯学研究科 予防歯科学教室 教授 天野(あまの) 敦雄(あつお) 2001年、人類史を俯瞰するギネスブックに「全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。 地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない。」と明記された。 巨大な病気に挑み、人々を守っている我々は美しい存在ではないかと誇らしい気もする。 歯周病はバイオフィルムに棲息する細菌種による複合感染症であることは皆さんご存じである。   しかし、歯周ポケット細菌が秘密戦隊ゴレンジャーに編成されたことを知る方は少ない。 1998年にバイオフィルム細菌は5つのグループに色分けされた。 Yellow、Green、Orange、PurpleそしてRedである(後にBlueが加わり、ロクレンジャーになった)。 ゴレンジャーではレッドが主役である。歯周病でもRedが主役だ。技術革新の結果、Red complexは予想されていたより遙かに高頻度で健康なあるいは幼い口の中から見つかり、数年前には口腔常在菌と見なされた。常在菌という表現にはとても重要な意味がある。常在菌の口腔内定着を予防することは容易ではなく、抗生物質による除菌も難しいであろう。   歯周病菌は強力な歯周毒性をもっているが、弱点も多い。血液中の鉄分(ヘモグロビン)と栄養素が増殖に必須、酸素や酸性環境も苦手なため、出血のない浅いポケットではごく僅かの菌数しか生存できない。しかし、プラーク蓄積、組織抵抗性低下などをきっかけに歯肉溝内面に潰瘍が形成され、毛細血管がバイオフィルムに暴露された時、供給される血液を得て、歯周病菌は数千倍に増殖する。これが歯周病発症の瞬間である。歯周ポケット内に血液が供給され続ける限り、歯周病は持続する。 どうやって歯周病と対峙すべきか。最新の歯周感染論に基づいた歯周治療についてお話しさせて戴きたい。  

▼講演項目

1.歯周病の原因 2.歯周病発症の瞬間 3.歯周破壊へのロードマップ 4.歯周治療の目標 5.歯周病細菌検査 6.なぜ歯周病は完治しない 7.歯周病と全身疾患の分子基盤 8.口臭が発揮する細胞毒性  

▼略歴

1984年 3月 大阪大学・歯 卒業 1987年 5月 大阪大学・歯 予防歯科学講座 助手 1992年 8月 ニューヨーク州立大学・歯 博士研究員 1997年 4月 大阪大学・歯 障害者歯科治療部 講師 2000年 4月 大阪大学・歯 口腔分子免疫制御学講座 教授 (2011年より予防歯科担当)  

▼参考文献

  天野敦雄、岡賢、二村上伸也(編) 『歯周病を科学する』 クインテッセンス社 (4月25日発刊)   *今年より会場が上野ヨシダに戻りました。 日時 : 3月16日 (金) 午後7時〜午後9時 会場 : 上野ヨシダ 会費 : 非会員の歯科医師 ¥ 5,000− 大学院生・研修医 ¥ 3,000−(身分証を提示) 歯科技工士・歯科衛生士 ¥ 3,000−
コメント一覧

コメントはありません。

この記事にコメント

*

トラックバックURL

Powered by WishList Member - Membership Software